概要 |
日本列島の海岸線について人工海岸の割合を5kmメッシュで示した地図。 |
考え方 |
総延長約35,000kmの長く複雑な日本列島の海岸線には、砂丘や断崖などその形状に応じて特有の動植物が見られる。陸域、陸水域、海域が接する水深の浅い沿岸域には、藻場、干潟、サンゴ礁など、海洋生物の繁殖、成育、採餌の場として重要な生態系が分布している。これらの生態系は水産資源の保全や水質浄化の観点からも重要性が高い。 海岸線を挟んだ陸域から沿岸域はいわゆるエコトーン(生態学的遷移帯)であり、高潮線と低潮線の間にあり、潮の干満により干出と冠水を繰り返す潮間帯には多くの動植物が生息・生育している。 しかし、港湾の整備や高潮・津波などの災害防止等のための海岸の人工化(汀線とそれに隣接する陸や海における人工構造物の設置)が進み、自然海岸の規模が縮小し、海岸-海浜域-沿海域といった、陸域と海域との連続性が低下している場合が見られる。また、沿岸域の開発は、陸域における海岸地形の変化の他、浅海域の生態系の喪失、流況の変化等をもたらす。 この地図では、海岸線の人工化の割合を示すことにより、過去に損失した海岸線の生態系の評価を行った。 |
データ及び加工方法 |
海岸が、港湾、埋立、浚渫、干拓等の土木工事により著しく人工的に改変された海岸(人為によって造られた海岸)を人工海岸とした。ただし、人工海浜、人工干潟等は含んでいない。 平成7・8年度に実施された第5回自然環境保全基礎調査海辺調査 注)より、5kmメッシュごとに人工海岸化された距離を算出し、全海岸の長さに占める割合を算出した。 注)兵庫県は阪神大震災の影響で第5回自然環境保全基礎調査の海辺調査を実施できなかった。このため、兵庫県のみ第4回自然環境保全基礎調査の結果を用いた。 【データ引用元】
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地図により表現される生物多様性の状況 |
瀬戸内海(中国地方側)、大阪湾、富山湾、伊勢湾、東京湾などは人工海岸が多い。 山陰地方、三陸地方など自然海岸が多く、豊かな自然環境を残している可能性が高い地域については、できる限り自然の状態を維持していくことが望ましい。 全国的に見ると、堤防・護岸等が整備された海岸線の延長は、約1万kmに及び、全海岸延長の約30%を占めている。また、汀線に人工構造物がない海岸を自然海岸とした場合、その延長は、1998年には全海岸延長の約50%となっている。自然海岸の延長は特に岩礁海岸よりも砂浜海岸において減少している傾向がある。 |
データの ダウンロード |
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データの出典 |
【人工海岸のデータ】
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データに関する注意事項等 |
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