10 減少要因別の絶滅危惧種の確認種数(危機の地図化)

  • 10-1 減少要因別の絶滅危惧種の確認種数:開発関連

    10-1 開発関連

  • 10-2 減少要因別の絶滅危惧種の確認種数:森林伐採

    10-2 森林伐採

  • 10-3 減少要因別の絶滅危惧種の確認種数:水辺の開発

    10-3 水辺の開発

  • 10-4 減少要因別の絶滅危惧種の確認種数:水質汚濁等

    10-4 水質汚濁等

  • 10-5 減少要因別の絶滅危惧種の確認種数:捕獲採取等

    10-5 捕獲採取等

  • 10-6 減少要因別の絶滅危惧種の確認種数:管理放棄等

    10-6 管理放棄等

  • 10-7 減少要因別の絶滅危惧種の確認種数:外来種による影響

    10-7 外来種による影響

画像をクリックすると、拡大表示されます。

概要

環境省レッドリストに掲載されている日本の絶滅危惧種(絶滅危惧I類及びII類)のうち、レッドデータブックの記述に基づく減少要因別に見た確認種数の分布を示した地図。

考え方

環境省編集のレッドデータブックでは、全国的な観点から見た絶滅危惧種の主な減少要因が定性的に記載されている。この減少要因をコード化し、それぞれの減少要因に該当する絶滅危惧種の分布状況を地図化することにより、絶滅危惧種の減少要因となっている危機が各地域でどのように進行しているのかを示す指標になり得る(危機の地図化)。

生物多様性国家戦略2010では、「生物多様性の危機」を以下の「3つの危機」及び「地球温暖化の危機」に整理しており、この地図では「3つの危機」について地図化している。

  • 第1の危機:人間活動ないし開発が直接的にもたらす種の減少、絶滅、あるいは生態系の破壊、分断、劣化を通した生息・生育空間の縮小、消失
  • 第2の危機:生活様式・産業構造の変化、人口減少など社会経済の変化に伴い、自然に対する人間の働きかけが縮小撤退することによる里地里山などの環境の質の変化、種の減少ないし生息・生育環境の変化
  • 第3の危機:外来種や化学物質など人為的に持ち込まれたものによる生態系の攪乱

ただし、レッドデータブックにおける減少要因は、全国的な観点からそれぞれの絶滅危惧種について記述されている。このため、それぞれの地域毎に該当種の減少要因を見た場合、必ずしもレッドデータブックに記述されている減少要因で減少しているわけではない場合がある点に留意が必要である。

データ及び加工方法

地図8-1及び8-2で作成した環境省レッドリストに掲載されている日本の絶滅危惧種(絶滅危惧I類・II類)の分布データから、環境省が2000年~2006年に発行した各分類群のレッドデータブック及び2006~2007年に改訂し、2010年に発行した各分類群の「改訂レッドリスト付属説明資料」の「減少要因」等の項目中に記載されている、以下の減少要因に該当する種を選択して分布データを抽出し、2次メッシュ毎に種数を集計して図化した。

10-1 開発関連:
11森林伐採12湖沼開発13河川開発14海岸開発15湿地開発16草地開発
17石灰採掘等21ゴルフ場 22スキー場23土地造成24道路工事25ダム建設
10-2 森林伐採:11森林伐採
10-3 水辺の開発:12湖沼開発13河川開発14海岸開発15湿地開発
10-4 水質汚濁等:31水質汚濁32農薬汚染
10-5 捕獲採取等:41園芸採取・観賞用捕獲・狩猟42薬用採取43その他不法採集等
10-6 管理放棄・遷移進行等:53管理放棄54遷移進行・植生変化
10-7 外来種による影響:52捕食者侵入56帰化競合57異種交雑・放流

【減少要因の出典】
環境省野生生物課 編(2000-2006) 改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物の以下の各編
哺乳類編、鳥類編、爬虫類・両生類編、汽水・淡水魚類編、昆虫類編、陸・淡水産貝類編、クモ形類・甲殻類等編、植物I(維管束植物)編

環境省野生生物課 編(2010) 改訂レッドリスト付属説明資料 の以下の各編
哺乳類編、鳥類編、爬虫類・両生類編、汽水・淡水魚類編、昆虫類編、陸・淡水産貝類編、クモ形類・甲殻類等編、植物I(維管束植物)編

地図により表現される生物多様性の状況
  • 第1の危機
    【1 開発関連】:「第1の危機」の全体を示すもの。森林や陸水域、草原など、生物の生息・生育環境の全般的な開発の状況を示している。特に屋久島以南の南西諸島では、開発による危機が顕著であることが分かる。その他、関東平野、濃尾平野、瀬戸内海沿岸、九州の一部などの地域でも、比較的多くの種が第1の危機により減少している。

    【2 森林伐採】:「第1の危機」のうち、森林伐採によるもの。森林伐採により減少している種は、相対的に西日本で多く、特に南西諸島で顕著である。

    【3 水辺の開発】:「第1の危機」のうち、陸水域及び沿岸の開発によるもの。関東平野、琵琶湖・淀川水系、瀬戸内海沿岸、九州の一部及び南西諸島などで顕著である。

    【4 水質汚濁等】:「第1の危機」のうち、水質汚濁等によるもの。水質汚濁により減少している種は北海道を除く全国に分布しており、関東平野、琵琶湖・淀川水系、瀬戸内海沿岸、九州の一部及び南西諸島などで顕著である。

    【5 捕獲採取等】:「第1の危機」のうち、動物の捕獲や植物の採取等によるもの。捕獲及び採取により減少している種は、特に伊豆諸島と南西諸島の島嶼部で顕著である。

  • 第2の危機
    【6 管理放棄等】:管理の放棄や遷移の進行による「第2の危機」を示すもの。遷移が進行すると生育できなくなる草原性の草本植物や、それらに依存したチョウ類などが代表的である。関東平野、長野県、東海地方の一部、瀬戸内海沿岸、九州の一部で顕著であり、とりわけ九州の阿蘇山周辺では第2の危機による減少が顕著である。

  • 第3の危機
    【7 外来種による影響】:外来種による捕食、競合などの「第3の危機」を示すもの。外来生物にはさまざまなものがあり、陸水域や島嶼において特に深刻な被害が生じていることが示されている。関東地方、近畿地方、瀬戸内海沿岸、九州北部や小笠原諸島、南西諸島などの島嶼で特に顕著である。

これらの危機の要因に応じて各地域で対策を講じることが求められる。

データの
ダウンロード
データの出典

【分布記録】

  • 第2回自然環境保全基礎調査 動物分布調査 哺乳類(昭和56年、環境庁)
  • 第2回自然環境保全基礎調査 日本産鳥類の繁殖分布(昭和56年、環境庁)
  • 第3回自然環境保全基礎調査 動植物分布調査 鳥類(越冬期)(昭和63年、環境庁)
  • 第5回自然環境保全基礎調査(種の多様性調査)動植物分布調査(平成14年、環境省)の以下の分類群の調査結果
    哺乳類、両生・爬虫類、淡水産魚類、陸産・淡水産貝類、昆虫類
  • 第6回自然環境保全基礎調査 哺乳類分布調査(平成16年、環境省)
  • 第6回自然環境保全基礎調査 鳥類繁殖分布調査(平成16年、環境省)
  • 農林水産省 田んぼの生きもの調査(平成14~21年、農林水産省)
  • 絶滅危惧種分布情報公開種 植物I維管束植物(環境省)
    平成12年レッドデータブック刊行時 データ
    平成19年レッドリスト選定時 データ
  • 日本植物分類学会提供データ(平成19年、植物分類学会)
データに関する注意事項等
  • GISファイルには2次メッシュ(約10km四方)毎の種数のみを載せている

PDFファイルの閲覧、プリントなどを行うには最新のAdobe Readerをダウンロードしてください。

Get ADOBE READER

ページトップへ戻る