概要 |
上流から下流にかけての連続性が確保されている流域及び全国の通し回遊魚の分布状況を示した地図。 |
考え方 |
ダムなどの大規模な河川横断構造物は、魚類等の上流・下流への移動を阻害する。通し回遊魚は、生涯に一度は海に下り、再び川に戻る回遊性の生活史を送っている種であり、これらは河川横断構造物によって移動を妨げられると、多くの場合、その場所よりも上流側に遡上できず、生活史を完結させることが出来ない。このため、通し回遊魚など移動性の水生動物の生息にとっては、河川が上流から下流まで連続し、遡上可能であることが重要である。 通し回遊魚には、代表的なものとして知られるサケ類のほか、ウナギ、アユ、イトヨ、また多くのハゼ科や一部のカジカ科等の種が該当する。これらの通し回遊魚の生息は、河川が連続的につながっていることの指標となる。 日本の山間部に見られる流域の大部分は、すでにダムによって分断されており、それらのダムの多くは、昭和以降に建設されたものである。 この地図では、大規模な河川横断構造物として、全国的にデータが整備されている大規模ダムに着目して、ダムが建設されておらず河口から連続している流域を抽出し、河川の連続性の指標となる通し回遊魚の分布と重ね合わせた。 |
データ及び加工方法 |
<流域分断図> <5kmメッシュ内の通し回遊魚の種数> なお、本解析で扱った通し回遊魚は以下の27種 注2)である。 注1)例えば解析に用いた27種の内北海道では15種が分布するが、九州に分布するのは14種、沖縄に分布するのは9種である。 【データ】
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地図により表現される生物多様性の状況 |
分断化される地点より下流では上流より通し回遊魚の種数が多い傾向がある。大規模な河川横断構造物がなく、上流まで河川が連続している流域(地図上の白)は、通し回遊魚などをはじめとする水生生物の個体群の維持のために重要な流域として、連続性を確保するように留意すべきである。 また、現在横断構造物によって分断化されている流域(地図上の灰位色の流域)では、魚道の設置などの対策により水生生物の移動路を確保することによって、上流への水生生物の移動を促進することが可能である。 |
データの ダウンロード |
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データの出典 |
【淡水魚類の分布データ】
【分断化された流域のデータ】
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データに関する注意事項等 | - |