4-1 植生図から見た里地里山地域の分布

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概要

現存植生図をもとに二次林、農地、二次草原を含む里地里山地域を示した地図。

考え方

二次林、農地、二次草原などの様々な環境要素が複合的に存在するような地域は、水際や林縁など環境の境界線(エコトーン)を必要とする里地里山地域に特徴的な生物の生息・生育にとって重要な地域である。

そこでこの地図では、環境省が作成した現存植生図から二次林、農地、二次草原が複合的に存在する地域を、「里地里山的環境を有する3次メッシュ(里地里山メッシュ)」として抽出した。

データ及び加工方法

現存植生図において、農耕地(植生自然度2・3)、二次草原(植生自然度4・5)、二次林(植生自然度7と、8のうちシイ・カシ萌芽林)の合計面積が45%以上を占めており、かつ、3つのうち少なくとも2つの要素を含む3次メッシュを「里地里山メッシュ」として抽出した。

【データ引用元】

  • 環境省(2009)里地里山保全・活用検討会議 平成20年度第3回検討会議資料(http://www.env.go.jp/nature/satoyama/conf_pu/03/mat02.pdf)より引用
  • 自然環境保全基礎調査 第5回植生調査 現存植生図(平成5~10年、環境省)
地図により表現される生物多様性の状況

里地里山メッシュは日本国土の約4割(39.4%)を占める。分布は北海道から沖縄まで全国に広く及んでおり、複合的な土地利用がなされている地域が全国に分布することが分かる。

全国的に見ると、東北地方の太平洋岸から関東平野にかけての地域や、能登半島、東海地方、近畿から中国地方などにまとまった分布が見られる。逆に、森林が連続した脊梁山脈には里地里山地域が少なく、自然林が連続している北海道の中央部や東北地方から中部地方に至る山岳地域、植林地が多い紀伊半島、四国の山地などには分布が少ない。

里地里山地域は都市近郊にも広がっている。関東地方の場合、東京都の区部にはほとんど見られないが、それを取り巻く多摩丘陵や埼玉県、千葉県などには広く分布している。名古屋圏、大阪圏などを含めて、全国スケールで見れば大都市は僅かであり、近郊には里地里山が広く分布している。都市近郊の里地里山は、森林が連続する奥山自然地域と都市域の中間に位置し、両者の緩衝帯の役割も果たしている。

複合的な土地利用を反映して、里地里山地域は、林縁や水際など環境の境界部(いわゆるエコトーン)を利用するカエル類やトンボ類等の生物にとって潜在的な生息・生育地である。里地里山の中には、二次林が多いもの、水田を始めとした農耕地が多いもの、そして二次草原が優占するもの等が存在するが、それぞれ特徴的な生物が生息し、森林や陸水、沿岸などと並んで、我が国の生物多様性の拠り所となっていると考えられる。

データの
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データの出典

【里地里山の分布データ】

  • 里地里山保全・活用検討会議 平成20年度第3回検討会議資料(平成21年、環境省)
データに関する注意事項等

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