2 小規模で開発等に対して脆弱な生態系を有する地域

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概要

生物多様性の保全上の評価が高い生態系のうち、面積が小さい希少な生態系を示した地図。高山植生などの自然度の高い生態系だけでなく、農地や二次草原など二次的な自然における生態系を含んでいる。

考え方

標高や地形、土壌などの特異な環境要因を反映した生態系は、面積は小さいものの、希少種や固有種が見られるなど、生物多様性の保全上重要な地域となっている場合が多い。一方、こうした生態系は分布域が限られているか、あるいは開発等に対して脆弱であり、当該生態系が失われた場合、周囲には代わりとなる同質の生態系がないことから、その生態系に依存するさまざまな種が生息・生育できなくなる可能性がある。

これらの地域を保全することで、地域固有の生態系が保全されるとともに、その生態系に特異的に依存する種の絶滅を防ぐことが可能となる。また、多様な生態系が維持されることで、国土全体の生物多様性の維持・向上にも資することが期待される。

これまでに環境省によって行われた調査のうち、局所的な自然環境の特徴を示す希少な自然生態系や二次的自然地域を全国で抽出・選定した調査としては、主に植生帯の観点から選定された「生物多様性保全のための国土区分ごとの重要地域情報」(平成13年、環境省。地図1参照)、第2・3・5回自然環境保全基礎調査において植物群落の観点から選定された「特定植物群落」、湿地性・水生生物の観点から選定された「重要湿地500」などがある。

この地図では、こうした比較的小面積で希少な生態系を選定した既存調査の情報を整理した。

データ及び加工方法

下記に挙げた調査において選定された群落等を地図に示した。その際、地理的に重なり同一の生態系であると考えられる場合には、1つに集約して示した。なお、生物多様性保全のための国土区分ごとの重要地域情報については、地図1「国土を特徴づける自然生態系を有する地域」に含まれない小規模な生態系(10ha未満)を抽出して使用した。

【データ】

  • 生物多様性保全のための国土区分ごとの重要地域情報(平成13年、環境省)
  • 重要湿地500(平成13年、環境省)
  • 自然環境保全基礎調査 第2・3・5回特定植物群落調査(昭和53年~平成10年、環境省)
  • 国立・国定公園総点検事業 海鳥集団繁殖地データ(平成20年、環境省)
  • 自然環境保全基礎調査 浅海域生態系調査(平成19年、環境省)
地図により表現される生物多様性の状況

小規模ではあるが、その場所の標高や地形・地質、土壌などの特異な環境要因を反映していると考えられる重要な生態系は全国に広く分布しており、特に本州以南にはまんべんなく見られる。高木林からなるものは全国に分布するが、関東平野や琵琶湖周辺、中国地方の一部、九州南部などに高密度に見られる。個々の凡例は示していないが、社寺林等の自然性の高い残存林や、渓流や崖地等の局所的な環境に成立した樹林が多い。

一方、低木林・草原等の生態系は高木林のものよりも少なく、東北地方、中部地方、九州の一部などにまとまって見られる地域がある。これらの生態系は、高層湿原や雪田、石灰岩地や蛇紋岩地などの局所的な環境に成立するもの、人による火入れや火山噴火・洪水等の自然攪乱を絶えず受けているもの等が含まれる。

地域ごとに見ると、北海道では高層湿原や海岸林が多く、西日本では農業用ため池や水路などの二次的自然地域が多く認められる。

これらの小規模で開発等に対して脆弱な生態系を有する地域については、環境の変化をモニタリングしつつ、注意深く管理をしていく必要がある。特に、半自然草原など人為的管理によって維持されている二次的自然地域では、過疎高齢化の進行に伴う利用・管理の縮小が深刻さの度合いを増していくと考えられる(地図22参照)ため、それぞれの地域にあった形での保全、管理、利用の検討が必要である。

データの
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データの出典

【小規模で開発等に対して脆弱な生態系を有する地域】

  • 生物多様性保全のための国土区分ごとの重要地域情報(平成13年、環境省)
  • 重要湿地500(平成13年、環境省)
  • 自然環境保全基礎調査 第2・3・5回特定植物群落調査(昭和53年~平成10年、環境省)
  • 国立・国定公園総点検事業 海鳥集団繁殖地データ(平成20年、環境省)
  • 自然環境保全基礎調査 浅海域生態系調査(平成19年、環境省)
データに関する注意事項等
  • 重要湿地500のGISデータについては、おおよその位置を示したポイント(点)データのみダウンロード可能

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