カルタヘナ議定書第1回締約国会議(COP-MOP1)の結果について

 2004年2月23日(月)〜27日(金)にかけて、カルタヘナ議定書第1回締約国会議(COP-MOP1)がマレーシアのクアラルンプールで開催されました。会議には、議定書締約国81ヵ国の他、非締約国79ヵ国、国連機関、IGO(Intergovernmental Organization、政府間組織)、NGO、学術研究機関、産業界などから、895名が参加しました。会議では、合計14の決議を採択しました。その概要は以下の通りです。

○決定手続き(議定書第10条7)
 輸入締約国の意思決定を容易にするための手続及び制度について決議した。締約国会議は、財政上の支援又は輸入締約国の決定を容易にするためのその他の手段を含め、能力開発をさらに促進するための制度を明らかにし、その構築を続ける。決議された指針及び手続では、締約国は、輸入締約国のバイオセーフティに関する情報交換センター(BCH)へのアクセスを確保するために協力し、その手続及び制度は輸入締約国のニーズによるものであるべきとされた。また、専門家の名簿とBCHは、決定を容易にするための支援を提供するための主要な制度とされた。

○情報の共有及びバイオセーフティに関する情報交換センター(第20条4)
 バイオセーフティに関する情報交換センター(BCH)のパイロットフェーズから全面運用段階への移行を承認し、その運用形態について決議した。具体的には、BCHの役割、性格及びその運営、BCHのフォーカルポイントの役割、技術的な監督と助言の方法、協力機関の義務、報告についての取り決め、締約国会議による定期的な見直しの形態の概要について決議した。

○能力の開発(第22条、第28条3)
 開発途上締約国又は移行経済締約国の要請に応じて、リスク評価及びリスク管理並びに能力開発について支援を提供するバイオセーフティに関する専門家の名簿に関する暫定指針を採択した。
 専門家の名簿のための自主的資金のパイロットフェーズに関する暫定指針を採択した。
 議定書の効果的実施に向けた能力開発のための行動計画及びその実施のための協力制度を採択した。

○取扱い、輸送、包装及び表示(第18条)
 拡散防止措置の下での利用又は環境への意図的な導入を目的とする遺伝子組換え生物等の輸出に際して添付する文書の内容については、遺伝子組換え生物等の名称を含めること等、記載すべき内容の細部がそれぞれにつき決議された。
 食料若しくは飼料として直接利用し又は加工することを目的とする遺伝子組換え生物等の表示の要件に関する技術専門家グループを設置すること及び同グループの作業に関する付託事項について決議した。
 締約国及び他の政府に対して、他のシステムの開発の可能性を妨げることなしに、OECDの遺伝子組換え植物の統一された識別記号を適用するための措置を講じるよう求めた。
 食料若しくは飼料として直接利用し又は加工することを目的とする遺伝子組換え生物等の表示の要件に関する上記の技術専門家グループの会合に先だって、遺伝子組換え生物等の安全な取扱い、輸送、包装及び表示に関する能力開発と経験の交換のためのワークショップを開催することを決議した。

○遵守(第34条)
 議定書の下での遵守についての手続及び制度について決議した。その中で、遵守委員会を年に2回開催し、その15名のメンバーは締約国から指名され、締約国会議により選任されることとした。各メンバーはそれぞれの個人的な能力の範囲で参加する。

○責任及び救済(第27条)
 議定書の規定における責任及び救済に関する法的及び技術的な専門家による作業グループを設置し、遺伝子組換え生物等の国境を越える移動から生ずる損害についての責任及び救済に関する国際的な規則及び手続について検討することとした。本作業グループは2007年に作業を完了する見込みである。

○監視及び報告(第33条)
 議定書の実施に関する国別中間報告書の様式を承認し、当該報告書の提出頻度と提出時期について合意した(報告書は、報告書の検討が行われる締約国会議の12ヶ月前、一般的には4年毎に提出される。ただし、最初の中間報告書は議定書の発効後2年以内に提出される)。

○事務局(第31条3)
 2005〜2006年の2年間における議定書の確定した費用に関する中心的なプログラム予算を承認した。また、これらの費用を議定書締約国に配分するための規模の評価について暫定的に承認した。
 中心的予算に対する信託基金並びに承認された活動に対する追加的貢献のための自主的信託基金及び発展途上国や移行経済国の議定書の過程への参加を促進するための自主的信託基金を設立した。
 生物多様性条約の財政に関する規則を議定書にも適用することを決議した。

○資金供与の制度に関する指針(第28条5、第22条)
 資金供与の制度に関する指針について、締約国会議に勧告を行った。この指針においては、資金提供のための資格基準と能力開発を支援することの必要性について特に重点を置いた。

○議定書の効果的な実施のために必要なその他の事項(例:第29条4)
 議定書から生じる科学的、技術的な問題を検討し、効果的な実施に必要な合意された見解と共通の指針を作成するために利用可能な全ての制度を必要に応じて利用することを決議した。
 締約国と非締約国との間の改変された生物の国境を越える移動についての指針を示した。

○中期的な作業計画
 締約国会議(第2回〜第5回会議)の中期的な作業計画について合意した。第2回及び第3回会議は毎年開催され、それ以降の会議の頻度については後ほど決定される。

○第2回締約国会議の期日及び開催場所
 第2回締約国会議を2005年の第2四半期に開催することを決議した。開催場所及び期日は後日決定される。